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日々是好日、ランRUN日和

かつては、サブスリーランナーとして幾多のレースを駆け抜けてきました。 怪我をして、一歩引いたところに身を置いたとき、新しい走りの楽しみを見つけに行きたくなりました。 日々是好日(ひびこれこうじつ)。 毎日が最良の日になりますように!

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(前回からの続き)

2018年10月21日 AM8:50

定刻通り始まった「第35回大町アルプスマラソン」。

スタート地点の陸上競技場のトラックを半周して、ロードに出ていきました。



では、ここでもう一度コースのおさらいをしておきましょう。



小さくてわかりにくいw(←詳細は「大町アルプスマラソン」でググって公式HPを見てね)

いずれにしても、2度の折り返し地点があるコースで、それぞれが長い下りの先に折り返しがある為、折り返し後は登りに反転する、「ロング・アップダウンコース」となっております。



・・・・・


では、再びレースに戻って・・・



【スタート直後】

スタートして、コースに出ると、とにかく呼吸が苦しかった。

と、いうか空気が乾いているのか、吸った空気で口腔内が一気に渇いて、うまく息が吸い込めませんでした。

まるで、のどの粘膜が乾いて張り付いたような感じになり、気道をふさいで酸素の吸入を防いでいるような感じでした。

ので、

とにかく唾液で口腔内を湿らせて、必死に酸素をかき集めながら、前に前にと進んでいきました。





【2km通過】

口の渇きも徐々に収まったころ、緩やかな下り坂に入って行きました。


さて、

今回の目標は、「とにかく歩かず完走」を掲げているので、途中でつぶれることなく、序盤はとにかく脚を残すことを前提に走っていきました。

ので、

ペースは、呼吸も脚もきつ過ぎないレベル。

とはいえ、もちろんこれはレースですから「手を抜いている」わけではなく、「このコースの42.195kmを最も速く走る為に必要な、『今の最適なペース』を維持して走っていきました。

ので、

傾斜の重力に身を任せ、力を温存すべく、自由落下の力を借りながら進んでいきました。

が、

このペース配分は、あくまで主観的且つ、感覚的なもの。

実際の具体的なタイムについては、時計を見ていないので、全くわからない状況でした。


ちなみに、時計を見ない理由はというと、へたにタイムを知ると、

「速い場合は調子に乗って、飛ばしすぎるから」

であり、逆に

「遅いと、タイムを気にして頑張ってしまうから」

そうすると、主観と客観のギャップに苦しみ、目標が達成できなくなる。

ので、

時計は一切見ずに、常に「主観的強度」を軸に走り進めていくこととしたのでした。


・・・・・・


8km通過。

長い下りが終わり、第1折り返し地点を過ぎると、今度は今来た道を含め、もっと長い、なが~い登り区間に入りました。

斜度は大したことがありませんが、21km地点まで続く長い上り坂は、じわじわとボディーブローのように効いていきます。

でも、

流石に今回で8度目の参戦ですので、コースは頭の中にしっかり入っています。ですから、斜度の感覚、距離の感覚、そして何より自分の脚の感覚を頼りに、最適と思われるスピードで登って行きました。

が、

ここは決して楽なコースではありません。

徐々に息は荒くなり、脚もどんどんと重くなっていきますが、「止まりたい」、「歩きたい」という衝動に負てしまうところまでは行くことがなく、「まだまだいける!」という精神力を維持して進むことができました。



・・・・・・・・・・



さて、

フルマラソンって、本当に面白い競技ですよね。

走行中に何度も

「もうだめだ」

と、

「まだまだいける」

という気持ちが交錯します。

この日も、長い登りを上っていると、この気持ちが何度も何度も交錯しつつ、それでも「まだいける」の気持ちが勝っている限りにおいては、前に進むことができていました。

これまでのレース経験の中で、途中で歩いてしまったことは何度もありますが、思い返せば「まだまだいける」に思考が及ばなくなった瞬間に歩いてしまっていたように思えます。でも、リタイヤ経験だけは一度もなく、結果的には走っては歩いてを繰り返しつつも、結局はゴールにたどり着いてきたわけで、そういう意味では「脚が完全に終わっていた」わけではなかったともいえます。

つまり、

「脚」よりも「脳」が負けた瞬間に、勝負が終わっていたように感じていました。



では今日は、

どこまで、脳に勝ち続けられるのだろうか?



・・・・・・・・



脳との戦いを制し、長い長い上り坂区間をクリアすることができました。

21kmを過ぎ、コースの中間地点(21.0975km)を通過しましたが、タイムは全くわからないままでした。

そんな中間地点を通過すると、木崎湖へと向かう下り坂に入りましたが、体感的なスピードは全然上げることができませんでした。

距離が進むにつれ、もはやスピード云々どころではなくなり、下りの重力に負けることなく脚を動かし続けることだけで精いっぱいの状況になっていきました。

それ故に、心の声との闘いは激しさを増すばかりとなり、最後まで持つかどうかの不安が脳裏によぎるようになりました。


・・・・・・・


過去、このコースでは3回歩きが入ったことがありました。

それぞれ25km~30kmで足が止まり、ここが一つの鬼門となっていました。

その為、

「先ずは30kmをクリアして、過去の弱さを超える。」

このことを新たに目標設定して、進んでいくのでした。



・・・・・・・



長い下り坂を駆け下りて、右手に「木崎湖」を見据えると、第2折り返し地点に到着しました。

そこを折り返すと、今来た道を次々と駆けてくる後続のランナーたちとすれ違っていくこととなりました。

折り返し直後の28km地点の標識を過ぎ、少し行くと朝健闘を誓ったラン友さんとすれ違いました。

第一折り返しの時とは違い、ラン友さんに対してのエールの声も出せず、お互いにアイコンタクトだけでエールを交わしました。


と、その時、

「苦しいのは自分だけじゃない、周りの仲間も苦しい中を頑張っている」

そう思えたことで、再び脚には力が宿り、心の声にも強気で立ち向かうことができました。



・・・・・・


【30km通過】

第1目標を何とかクリアすると、34kmまでの長い登り坂が待っていました。

ここでは脳をポジティブに持っていくため、「もう30kmも過ぎた、残りはたったの12kmしかない」と考えていきました。

そして、「この坂は最後の坂」そして、「いつもの練習コースの『あの坂』と同じレベルだから大丈夫だ」と考えていきました。

更には、

「この坂を登りきれば、後はゴールに向かって下るだけ」

とか、

とにかく意識を前向きに持っていくことだけに注力し、後ろ向きな言葉は一切封じて進んでいきました。

が、

とにかく長く感じる1kmの距離。


「1kmってこんなに長かったかな?」

って思えるほど、次の31kmの標識が現れませんでした。

でも、

周りの声援の声に助けられ、1歩1歩確実に脚を前に進め、そして進んだ分だけ残りの距離が減っていることを確認しながら進んでいきました。


・・・


なんとか33km地点を通過して、上り坂の頂上が見えた時、ようやく完走への光が見えてきたような気がしてきました。

そんな最後の坂を上り切り、コースは下り坂に切り替わり、35km地点の標識を超えたときに、はじめて強気でもなんでもない、本当の気持ちから、

「あとたったの7kmしかない」

そう思えることができました。



・・・・・・・・・



37km地点を過ぎ、ラスト5kmの看板を通過。

この頃になるとようやく、中盤からずーっと続いていた足底部の痛みと、走る前から抱えていた右側臀部の痛みは消えることなくこの時も続いていましたが、まもなく解放される安堵感から、痛みが少しだけ軽くなった思いがしていました。



40km地点を過ぎると、左手にはゴールの陸上競技場が見えてきました。

41km地点を過ぎると、沿道の声援は最高潮に達していました。

お帰りなさい!

あと少し!

ナイスラン!

その声を聴くと、目標にしていた「歩かず完走」まで、あと一歩のところまで来たことを強く感じました。



ラスト500m程

陸上競技場の敷地内に入ると、アナウンスの声が大きく響きわたり、「今」の状況がつぶさに耳に入ってきました。


アナウンスの声に色々な思いを込めてスタジアム内に入ると、残りは300m程のトラックを残すのみとなりました。

最後は僅かに残った力を振り絞り、全力でゴールラインを駆け抜けていきました。


・・・・・・


腕に巻かれた時計を止め、

帽子を脱いで、後ろを振り返り、

これまでの42.195kmの旅路に向かって大きく一礼をしました。


・・・


ゴールを後にすると、

ボランティアの子供たちが「フィニッシャーズタオル」を肩にかけてくれ、記録計測チップをシューズから外してくれました。

その後、朝設営したテントに戻ると、改めていろいろな感情が沸き上がってきました。



久しぶりに感じた充実感。


日常では感じることのできない満足感。


そして、


ここでしか味わえない大きな達成感に満ち満ちていました。






42.195kmをともに戦った相棒に感謝しつつ、記録を振り返ります。





3時間02分14秒

ちなみに競技場の敷地に入った時に聞こえてきたのは、「競技開始から3時間まであと10秒」の声でした。

結果的にゴールタイムはその声に届きませんでしたが、今できる全力は尽くせた結果だったと理解しています。




2018年秋。

今年最後のフルマラソンでした。

そして、

過去3年間の自己ベストを達成して、幕を閉じることができました。


4月の長野マラソンからは1分55秒の短縮。

そんな2分足らずの時間でしたが、この日は「約2分という短い時間」に大きな大きな意味を感じることができました。

それは、


縮めることができた、約2分

そして、

届かなかった、約2分

それでも、

この日に手に入れた現実の先に、目標という名の小さな光が見えたような気がしたのでした。



(ランアフター編に続く)

拍手[18回]

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流石です

自分は3時10分19秒でした。流石の走力でした(^^)
また、背中を追います。長野マラソンよろしくお願いします!
by 声掛けの主 2018/10/23(Tue)18:42:46 編集

Re:流石です

大町アルプスマラソンお疲れ様でした!

当日はお会いできて本当にうれしかったです。おかげで、肩の力を抜いてスタートができ、予想以上の結果で終わることができました。

長野でもお互いに快走したいですね。

レース後の出来事もアップしました。何があったのか、ご一読いただければ幸いです。
2018/10/23 21:24

ナイスレース!

おめでとうございます!

完全復活への階段を確実に上っていますね。

それにしても素晴らしい記録ですね。サブスリーへの感触を掴まれたのではないですか?

時計を見ずに主観で走る。日頃の練習の再現性でペースを作る作戦ですね。これがメンタル面にプラスに出たのではないですか。

ペース感覚が研ぎ澄まされての走り、素晴らしいです。



by ヨッシー URL 2018/10/26(Fri)22:53:26 編集

Re:ナイスレース!

ヨッシーさんありがとうございました。

完全復活はまだまだ先ですが、主観で走っても遅くないペースで走れるようになりましたので、もっと練習を積めば、かつてのステージに戻れるかもしれないところまで回復したといってもいいと思っています。

マラソン歴も丸8年を経過すると、下手に時計を見ない方が、うまくレースメイクできるようになったと感じられるようになれました。このキャリアが、二桁に入るころにはもっと感覚が研ぎ澄まされているといいと思っていますので、これからも頑張っていきますね!
2018/10/27 16:04
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プロフィール

HN:
RX-93
性別:
男性
自己紹介:
花の昭和47年生まれのアル中&メタボ中年が、何を血迷ったのか38歳からランニングを開始!
40歳でサブスリーを達成すると、42歳でフルマラソン2時間48分台を記録。
ランナーズのフルマラソン全日本ランキングのベスト100に掲載されると、有頂天もMAXに。
だが、
それが災いしたのか、その後は故障の連続。
ストレス解消のために走ったはずが、走れば走るほどにストレスに!?
サブスリー時代のブログを閉じて、新天地にやってきました。
毎日が、「日々是好日」。
ランRUN日和になりますように!

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