日々是好日、ランRUN日和
かつては、サブスリーランナーとして幾多のレースを駆け抜けてきました。 怪我をして、一歩引いたところに身を置いたとき、新しい走りの楽しみを見つけに行きたくなりました。 日々是好日(ひびこれこうじつ)。 毎日が最良の日になりますように!
※注意事項
筆者は、数学に関する教養は、中学校卒業程度しかありません。
従って、表題の作品に関する書評は、おそらく一般のものとは異なります。
まあ、「数学の素養のない奴が読むとこうなるのか」という一例ですね。
なので、学がないのに頑張って書いていたら、超長文になりました (∀`*ゞ)テヘッ
・・・ので、読み飛ばし推奨ですww
・・・・・・・・・・
さて、数年前からずっと読みたかった本がありました。
そして、念願かなって、ついにそれを読破することができました。
そのタイトルが、
「フェルマーの最終定理」です。
作者は、ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を持つサイモン・シンが手掛けたものですが、内容は数学史のノンフィクションです。
本文中には、(私にとって)かなり難解な数学表現も多く、
はっきり言って、アホ な私では、読了するのに5日もかかってしまいました。(←脳がつかれると、「ウマ娘」でクールダウンしながら読み進めたw)
で、アホがアホなりに読んでみたところ、なかなか面白かったので、まとめ記事を書いてみたというわけです。
内容はざっくり言うと、(私的な『まとめ』なので、違ってたらスマンw)
17世紀の数学者「フェルマー」は、ディオファントスの著作「算術」の本のページの余白に『(Xⁿ+Yⁿ=Zⁿ)の式を満たす「べき数」nが2を超える自然数の場合、X,Y,Zを満たす自然数の組は存在しない。』という意味の言葉を残して亡くなりました。
さらにそこには、『私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない』とも記されておりました。
つまりフェルマーは、『この命題は「仮説」ではなく「定理(証明された命題)」なのだ』と暗に示したままこの世を去ったというわけです。
証明に関する表記は一切ないものの、フェルマーは「証明できる」とされたこの問題。一見すると証明は簡単だと当初は思われていましたが、いざ証明しようとすると、これが数学界最大の超難問でした。
それ故に、名だたる世界中の数学者たちが、こぞってこの問題の証明に挑戦しましたが、誰一人としてこの謎を解き明かすことができませんでした。
難解な証明に挑んだ者たちの苦悩のドラマ。1世紀、2世紀と時は流れ、時には「証明は永遠に不可能ではないのか」、「そもそも、この命題は誤っているのではないか」など、様々な疑念すら沸きおこります。
そんな中、ついに330年の時を経て、天才数学者「ワイルズ」が、この謎の完全証明を成し遂げることができました。証明の発表の場で「これで終わりにしたいと思います」と、言葉を発し、ついに3世紀以上にわたる数学界の謎に終止符が打たれました。
本作は、フェルマーの残した謎とその謎の完全証明までの波乱のドラマを記した、数学界のドキュメントです。
と、言った感じです。(←重ね重ね、違ってたらスマン)
・・・・・・・・・
さて、
冒頭の通り、私には数学の素養はほとんどありません(←あっても中学卒業レベルw)
なので、
作中の数学的専門用語が並ぶ説明文書は、正直に言って 理解できていません。
だって、例えば(本文223ページより)
ゲーテルによる第一次不完全性定理について、次のように述べられている。
すべてのω(オメガ)ー無矛盾で機能的な論理式の集合κ(カッパ)について、Gen(ν(ニュー)、γ(ガンマ))もNeg(Gen(ν、γ))もFlg(κ)に属していない機能的な単項述語記号γが存在する(νはγの自由変数である)。
なんて、読んでも意味がわからん!
ので、
そういう数論以外のところで(←アホの私でも分かった範囲でw)
面白かったところをチョイスしました。
(注)以下、ネタバレ含みます。
未読の方で、これから新鮮な気持ちで本作を読みたい方は、
ここでおかえりください <(_ _)>
・・・と、いうことで、
【個人的に面白かった点5点抜粋】
①数学における定理とは何か
⇒比較として、科学における「証明」とは、ある自然現象を説明するために、まず仮説が立てられます。そして、その仮説を立証するために実験が行われ、実験が成功すれば、「その仮説を支える証拠」となります。科学はそれを積み上げて仮説を立証するため、新しい技術や実験によって、その仮説が覆ることもあります。
一方で、数学の定理は論理的プロセスの上に証明されており、一度証明された定理は永遠に真である(後に訂正されることはない)存在となります。その為、数学における証明は「絶対」であり、非常に大きな価値を持っています。
(それゆえに本書では「科学的証明は、数学的証明に比べて劣っている」と記載)
②数字の持つ面白さ
⇒数字には、「完全数」(約数の和が、その数に一致するもの【Ex,「6」の約数は、1,2,3でその和は「6」になるので、「6」は完全数】)とか、「友愛数」(異なる 2 つの自然数の組で、自分自身を除いた約数の和が、互いに他方と等しくなるような数をいう。親和数(しんわすう)とも呼ばれる。【220と284の組み合わせなど】)など、意味を持つ数字が多数存在している。又、「ゼロ」や「無限」といった概念が持つ深い意味などがあり、こういった数字の面白いエピソードが満載だったこと。
③無限(永遠)の概念
⇒無限に存在する自然数に対する謎を解き明かす(証明する)むずかしさが、本作のテーマの一つである。その上で、「無限とはなにか」を知るうえで、その概念に似た「永遠の概念」を、作家のデイヴィット・ロッジは、次のように表現していた。
「この世界と同じくらい大きな鋼鉄の球があり、一匹のハエが百万年に一度その上に止まるものとしよう。この鋼鉄の球がハエの浸食によってすり減ってすべてなくなったときでさえ、永遠はまだ始まってもいないのだ」(←つまり、「計り知れないほどの時間の経過をもってしても「永遠」という時の流れにおいては、その瞬間ですらないということ」かな)
・・・ちなみにこれって、寿限無の「五劫(ごこう)の擦り切れ」の概念みたいだねw
④完全証明に至るまでの330年の人の英知
⇒完全証明を成し遂げたのはワイルズの功績だが、ワイルズが完全証明に至るまでには300年以上の天才数学者たちの仮説や検証といったプロセスの歴史があった。ワイルズはそれらを踏み台にして、最後の証明の頂に上り詰めたことが、これまでの歴史からもよくわかる。
そこには、日本人数学者たちの功績もあり、「志村ー谷山予想」がなければ、はたしてワイルズは完全証明できたかということを鑑みると、結果的に300年以上の英知の結集が、ここに証明を成しえたといえる壮大な歴史の深さを感じたこと。
⑤「コンピュータによる証明はつまらない」ということ
⇒フェルマーの最終定理と並ぶ、数学界における難題には「4色問題」というものがある(隣り合う領域と同じ色にならないように塗り分けるには4色の色があれば十分であるという命題)。
これは近年、コンピュータを使ってその命題が真であることが証明されました。その時、数学者のフィリップ・デイヴィスは、この命題がコンピュータによって証明されたことを知ると「なんだ、(この命題は)たいした問題ではなかったのか」と落胆したという。つまり彼は、これほどの難題は、人知を超えた鋭い洞察をもって証明されたと期待していたのに、機械の力で何千通りものパターンを力ずくで解決しただけだということに大いにショックを受けたようでした。
そして、人の知力をもって解明したのではなく、コンピュータによって解析された証明とは、全くもって「美しくない」のだそうです。
で、ここで余談ですが、
⑤については、読みながら、東野圭吾の「容疑者Xの献身」(映画版)のラストを想起させられました。
(※容疑者Xを知らない方は、以下もネタバレ注意)
【以下、容疑者Xのラストより】
石神哲哉は天才物理学者の湯川学が本物の天才だと認めるほどの数学の天才です。そんな石神が特に熱を持っていたのは、四色問題です。四色問題とは「隣り合う領域が必ず同じ色にならないように塗るには、どんなパターンでも四色あれば十分なのか」という数学の問題で、これはすでにコンピュータで証明されています。しかし、石神はその答えを「美しくないもの」として、大学時代から人の手での証明に挑んできました。
そんな天才数学者「石神哲哉」は、愛するものを守るために(花岡親子をかばって)殺人の罪で逮捕・収監されました。
投獄された牢屋の中でひとり石神は、天井を見つめます。
するとそこには汚れたシミがあり、そのシミとシミをつなぎあわせると、「4色問題」の図形が浮かび上がりました。
「考える時間は十分にある」
親子をかばう為とはいえ、実際に殺人に手を染めてしまった石神。収監され自由を奪われたように見えても「数学はここでだってできる」と、後悔を全く感じさせない石神の姿に、私は強い感動すら覚えましたが、本作はまさにそれを想起させるストーリがありました。(←ま、容疑者Xで取り扱った4色問題の例えは、「隣り合うもの(石神と隣に住む花岡親子)が、同じ色(同じ殺人という罪)に染まってはいけない」という伏線回収の意味だと思っていますが)
・・・・・・
と、いうわけで(どういうわけだ?)
非常に長々でしたが、読んでいて
(* ̄- ̄)ふ~ん
とか、
( ゚Å゚)ホゥ!?
とか、
色々考え、感じることのできた本でした。
興味のある方は、
よろしければ、是非お手に取ってお読みください <(_ _)>
本日のラン 15.51km 1時間22分43秒(←ここ、ランニングブログって忘れてたww)
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プロフィール
HN:
RX-93
性別:
男性
自己紹介:
花の昭和47年生まれのアル中&メタボ中年が、何を血迷ったのか38歳からランニングを開始!
40歳でサブスリーを達成すると、42歳でフルマラソン2時間48分台を記録。
ランナーズのフルマラソン全日本ランキングのベスト100に掲載されると、有頂天もMAXに。
だが、
それが災いしたのか、その後は故障の連続。
ストレス解消のために走ったはずが、走れば走るほどにストレスに!?
サブスリー時代のブログを閉じて、新天地にやってきました。
毎日が、「日々是好日」。
ランRUN日和になりますように!
40歳でサブスリーを達成すると、42歳でフルマラソン2時間48分台を記録。
ランナーズのフルマラソン全日本ランキングのベスト100に掲載されると、有頂天もMAXに。
だが、
それが災いしたのか、その後は故障の連続。
ストレス解消のために走ったはずが、走れば走るほどにストレスに!?
サブスリー時代のブログを閉じて、新天地にやってきました。
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天才
戦時中の暗号解読をする天才達の映画など
とにかく天才の人生を見ると
頭がいい=幸せ ではない事が伺えますよね。
大抵の場合、頭はいいけど人付き合いが苦手か
頭が良すぎて周りがみんなバカに見えるか(汗)
コンピューターによる解明(証明)がつまらないのは
すごく分かります(゚゚)(。。)
謎はいわゆる人類の楽しみでもあるのに
横から勝手に答えを出されたらたまりません。
人類は数学の答えが欲しいんじゃなくて
人類が自分で答えを導いて
進化を実感したいんだと思うんですよねー
同じ理屈で
厚底シューズやレーザーレーサーは
技術の進化は実感できるけど
身体能力の進化とは違うので
しっくり来ないんだと思います(゚゚)(。。)
医療のように
とにかく答えが知りたい分野もあると思いますが
その過程が大事な分野もあると思います。
330年の人の英知は
その過程に価値を感じますね(^^)
Re:天才
コンピュータが発達して、AIもすごいスピードで進化してますから、「数学の証明」なんて、もうじきコンピュータがすべて解明してしまう時が来てしまうかもしれません。
でも、数学の証明は、科学の証明と違って、証明されることで人々の生活が豊かになったりするものではありませんから、「機械の力を借りてでも速やかに解ければいい」っていうのとはまた違うものがあるんだと、この本で知りました。
技術の進歩と人間の力の証明は、色々と課題の多いテーマなんでしょうね。りょうまさんのいう通り、走る道具の力・飛ぶ・投げる・泳ぐといった、人間の基本動作を競う競技において、どこまで道具の技術が入り込んでいいのか悩ましいところだと思います。
無題
そうだとしたら、私の中の「フェルマーの定理」と「谷山志村予想」と「アンドリュー・ワイルズ」が繋がる!!
ワードだけ知ってて、中身何も知らないってのが私あるあるなんですが、これは同じカテゴリーBOXに放り込んで大丈夫ですか!?
しかしよく読めましたね。私、RXさんが抜粋してくれた所だけでもお腹いっぱいですけど。全然意味わかんねー。
四色問題のとこも「知ってる知ってる!容疑者Xだよね!」と思ったら、やっぱりちゃんと書いててくれてたw
理系は全く分かりませんが、聞いたことあるワードが出てくるのはものすごく楽しかったです♪
それに引き換え、ウマ娘は難易度そこまで高くないと思うのですが、競馬1ミリも知らないので毎回「ふーん」で終わってしまってすみません・・・
Re:無題
はい、その通りです!
アンドリュー・ワイルズがフェルマーの最終定理を証明した人です。
そして、その方法は、谷山志村予想を証明することでフェルマーの最終定理を証明したので、「フェルマーの最終定理」・「谷山志村予想」・「アンドリュー・ワイルズ」は、しっかり繋がっているんです。
この本、はっきり言って専門的な記述は、まったく理解できませんでしたがw
みちさん同様に「あ、聞いたことがある!」とか「知ってる知ってる♪(←ほんとは、よく知らないけどw)」的なワードやフレーズが随所にあったので、なんとか心が折れずに読めたんだと思います。
数学系の問題は、小説にも盛り込まれてたりしますんで、「容疑者X」もそうですし、「陽気なギャングが地球を回す(伊坂幸太郎)」とかにも出てきた話があったりしたので、「あっ、あの話ね」って感じで所々は理解できました。
なので、みちさんの言う
>聞いたことあるワードが出てくるのはものすごく楽しかったです♪
っていう感じで読み進められました。
ウマ娘は、競馬を知らなくても全然OKなゲームです。
が、
可愛い「娘」たちを強く育成することが、唯一無二の目的なので、「おじさんの支持率が高い」のは、間違いないでしょうねw