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日々是好日、ランRUN日和

かつては、サブスリーランナーとして幾多のレースを駆け抜けてきました。 怪我をして、一歩引いたところに身を置いたとき、新しい走りの楽しみを見つけに行きたくなりました。 日々是好日(ひびこれこうじつ)。 毎日が最良の日になりますように!

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11月3日(日)ぐんまマラソン当日

前回の前編に引き続き、レース本編をお送りいたします。

ちなみに、

毎度のことながら、すごい長い記事で、すいません。


・・・・・・・


さて、

スタートの号砲が鳴り、

勢いよく飛び出す・・・・

はずですが、

このコースは、スタート直後の走路の幅が狭く、私は最前列の「陸連選手」のSブロックの次に並べる「Aブロック」にいたはずなのに、ひどい渋滞で前に進むことができませんでした。

そのため、

最初は完全にジョグペースになってしまい、最初の1km通過タイムは、「5分11秒」もかかりました。

が、

体調不良のコンディション的には「丁度いい」と思っていました。

まあ、当初から、

「最初の5kmは、アップだと思って走るくらいでちょうどいいのだろう。」

そう思っていました。

が、

アップどころか、3kmが遠いのなんの・・・

今回は心拍数もチェックしながら走ろうと思っていたので、頻繁に時計はチェックしていましたが、心拍数が165~170という今の自分にとって高いレベルを行き来しつつも、ラップタイムは4分40秒ほどの遅いタイムしか出ておらず、

「きつい割には遅い」

という、一番苦しい展開で進んでいったのでした。





9km通過

この辺りから、ようやくリズムよく走れるようになりました。

このコースは、あまりアップダウンがないので、リズムがつかめたらガンガン行きたいところ。

なので、

「ちょっとトイレに寄りたいな」

って気持ちもありましたが、リズムを崩したくないので我慢して「無心」で、駆け抜けていきました。






15km通過

やはり練習不足のため、この辺りから早くも脚が重くなり始めました。

ので、



16km通過直後

目の前のトイレに寄って用を足しつつ一息つき、

尿の分だけ軽くなった体で、再びコースに戻っていきました。




・・・・・・・・




「先ずは前半の21kmをしっかり走りきる」

これが、最初の目標でした。

ちなみにこれは、


21kmをしっかり走り切れれば、残りの距離は半分以下になる。

そうすれば気持ちは少し楽になり、後半もしっかり走れるはず。


そう思っていたからでした。


しかし、

21kmに届かない19kmあたりから本当に脚が重くなり始め、

目標の21kmを通過するころには、かなり失速し始め、





22km通過直後


ついに歩いてしまいました・・・


やはり30km走がほとんどできず、走れてもハーフまでだったので、脚が21km以上の距離に全くと言っていいほど対応できていませんでした。

ですが、

ここでは20秒ほど歩いただけで、すぐに走りに戻すことができ、

前半のペースから比べれば、ジョグのようなペースになりましたが、

それでも走り進めることができました。




・・・・・・・



【地獄の一丁目】


「きつい!」


この一言だけが、脳内を支配し続けました。

もうここまでくると、タイムがどうという問題ではなく、

「何とか無事にゴールすること」

これだけが、目的に変わりました。


しかし、



28km通過

恐れていた腹痛が始まり、みぞおちの下あたりが、キリキリと痛みを発し始めました。

でも、


「走れないわけじゃない」


そう、気持ちを奮い立たせて、前に前にと進んでいきました。



・・・・・・・・・・



【本当の地獄の始まり】


30kmを通過し、しばらくすると、新たな体の異変に襲われました。

それが、

「呼吸ができない・・・」

と、いうものでした。


そう、それは、

見えない手で、私の気管を握りつぶされているかのように、

吸う息はもちろん、吐く息さえも細くなり、

吸うときも「ズ・・・ズゼェー」という、奇妙な音を発し、吐くときもまた、同様の音を発しながら、絞り出すように肺の中のものを吐き出すようになりました。


すると、

当然、体内には酸素がいきわたらないので、

脚は全く動かなくなり、頭の中もぼんやりとしてきますが、

練習不足の足裏は、すでに着地の衝撃を受け止めることができず、

着地のたびに激痛を脳内に届けてくれるので、意識だけははっきりとしている分、

苦しさは、全開で体中に伝わってくるのでした。



・・・・・・


【果てしない道のり】



1kmが遠い・・・

そう感じるのも無理がありません、スローペースで走っても、4~5百メートルで歩いてしまうので、1km先の標識が全く見えてきませんでした。

でも、

とりあえず「32km」を通過すれば、残りは10km

そこからは気持ちを切り替えられるんじゃないか?

という、淡い期待だけを胸に、

それでも前に前にと、一歩ずつ進んでいきました。



・・・・・・・・・



【折れそうな心】


何とか、32kmの標識を超え、残りが10kmを切りました。

依然、息は苦しく、気味の悪いゼーゼーという音を発しながらの呼吸が続き、

走っては歩くを繰り返していきました。


で、


ようやくたどり着いた33km地点

これで残り9kmですが、

33kmの標識の前で脚が止まり、もう歩くこともできませんでした。


すると、


「どうしよう? ここでリタイヤしようかな?」


と、本気で考えました。



息もできない

脚も動かない

足裏には激痛が走る


それにより、目的も意義も見い出せなくなってしまいました。



するとそこに、

「すぐ近くに救護所があるよ。もうちょっと頑張って!」

と、

沿道の方からそう教えてもらい、

とりあえず2百メートル先にあったエイドに向かいました。



もちろんここでリタイヤをコールしてもよかったんですが、救護所があるのでそこでコールドスプレーを脚全体にかけてもらい、

そのあとで足の痛みと熱を取ろうと、エイドの給水用の水を目いっぱい足にかけ、シューズがずぶぬれになるくらいにしたことで、少し痛みが紛れてきました。(←多分気のせいレベルですが)

で、これにより、

もう少し前に進んでみようという気持ちに変わり、エイドを出ようとしたら、

「これ食っていって!」

と言っておじさんに渡されたのは、

「鶏のから揚げ」

でした。




さて、

私はこれまで、フルやハーフのレース中に水とスポーツドリンク以外のものを口にしたことはありませんでした。

それは当然、フルマラソン以下の距離では給食をする必要がなかったからで、

そんなことをするのは、エネルギーが枯渇するウルトラマラソンのレースくらいでした。

でも、

今日は、このから揚げが、めちゃくちゃうまかった!

もちろん胃痛がしているので、油物はどうか?

とも思いましたが、ガス欠の体に燃料を少しでも入れることで、また少し動くことができる。


ウルトラで学んだ経験が、生かされているのだと感じました。

なので、

そうだ、


「このコースのリミットは、6時間もある」


ならば、


「歩いてでもゴールはしよう!」


そう、奮い立つことができました。



・・・・・・



【支えてくれたもの】


ぐんまマラソンのありがたいのは、約2kmおきにエイドがあることでした。

なので、

この後のエイドでは、バナナに梅干し、お菓子だっていただきました。

もちろん、そのすべては前に進む気力を得るため

だったのですが、

もはやマラソンに必要な「走る」なんていう動作は、ほとんどできない状態になってしまいました。

と、いうのも、

走ろうとすると脚は攣りそうになり、動かす脚は重く鉛のようで、

本当にウルトラマラソンの80km過ぎを進んでいるかのような錯覚に陥りました。

なので、

いっそのこと15分ほど沿道に寝転んで寝てしまおうか

と、そんなことまで考えるようになりました。

でも、

エイドでの応援の声

そして、

温かいエイドでのおもてなし

そんな給食での回復


これだけを頼りに前へ前へと進んでいくのでした。



・・・・・・・・・



【生きている実感】


ようやく37kmを過ぎ、ラスト5kmとなりました。

依然、1km7分前後かかるタイムで進んでいます。

なので走れる距離は200mが精いっぱいでした。

おそらく歩幅は、80cmくらい。

なので、

走るときは歩数を数え、「200m分の250歩」までは頑張ろう!

という気持ちで進んでいきました。

で、

200m走ったら100m歩いて、また200mを走る。

こんな感じでも、

「死にそうにきつい!」

と、感じるものでした。



で、

走れなくなって歩きだすとヨロヨロと蛇行しつつも

なんとか40kmの標識を過ぎ、ラスト2kmを迎えたころ、

ある思いに駆られました。

それが、

「あぁ、俺って今を生きているんだよな~」

っていうこと。

それは、

今は、苦しくて、辛くって、死にそうなんだけど、

でも、

「死にそう」ってことは「死んではいない」

つまり、「生きている」。

っていうこと。


ちなみに、これまでも、

「なんで、みんな、こんな苦しい思いをしてまでマラソンに魅せられるんだろう?」

って思ったことがあったのだけれど、

これほど、「生(せい)」を実感できるスポーツって、なかなか無いからじゃないかな?

って今回は感じました。



・・・・・・・・・・・・



【最後のプライド】


41kmを通過

残るは、1.2kmとなりました。



前日は、

「明日の大会は、行くのやめようかな?」

なんて、弱気の虫が走り、

当日の朝は、

「このまま布団の中で寝ていたいな~」

って思いながら、

それでも、近場なんだから、行くだけ行ってみようと思ってやってきた会場でも、

「やっぱり、リタイヤしそうだから、スタートせず、このまま帰りたいな」

って、思っていました。


そんな、

すっごく弱気で始まったレースでしたが、

ヨロヨロのボロボロで、歩きまくったフルマラソンでしたが、何とかゴール直前までくることができました。


ラスト700m

ここで、一旦ゆっくり歩きました。

200mほどゆっくり歩いて、

ここで、最後の力をためて

残り500mほど

あとはゴールまで止まれないと思いました。

つまり、

「最後は走ってゴールがしたかった。」



それは、

「多分リタイヤするだろう」

という思いで始まった、

走る前までの自分自身に対して、

「ざまーみろ!」

って、言ってやりたい一心でした。



・・・・・・・



【戦い終えて】


さて、

ヨタヨタ走りながらも止まらずに走り切り、

ようやくみえたゴールライン

どんなレースの時でも、この瞬間だけは本当に最高な気分ですね。

「やり切った満足感」

やはりこの一言に集約できると思っています。

そんな、ゴールラインを通過し、振り返って、今来たコースに一礼をする。

すると、

「今日は本当に耐え抜いた」

その一言しか、感想はありませんでした。


当然、良かった点はまるで見当たらないし、

むしろ、

「舐めた練習で走り切れるほど、フルマラソンは甘くない」

ということを、再認識させてもらったような気さえしました。



そういえば、スタート前のセレモニーで、

ゲストで来ていた、「谷川真理」さんが、

「マラソンに、まぐれはありません。練習でやってきたことだけが、本番に現れます。」

と、そんな感じのことを言っていたのを思い出しました。

ですので、



どんなにシューズの力を借りようとも、

結果はやはり、

練習につながっていて、

その結果というのは、



今をしっかりと物語っているのだと感じました。




戦い終えて今、

「ゴールにたどり着く、ランナーとしての矜持だけは持っていた」

ことだけが、今日の誇りだったと思っています。





・・・・・・




さて、

今年のレースはすべて終了しました。


今年は、公私ともに忙しくて、ハーフ3戦、フル1戦、ウルトラ1戦の5レースだけでした。


ちなみに来年も、今年同様の感じです。

なので、

すでに、例年参戦の「長野マラソン」は、来年はエントリーをしていません。

でも、

まだまだ走り続けたいと思います。

いや、

走り続けます。

来年は、どんなシーズンとなるのでしょうか?

拍手[11回]

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ナイスレース!

ナイスレースです!

RXさんは不本意かもしれませんが、記事を読んで感じたのは、ランナーとしての意地と誇りがゴールへと導いたのではないですか。

呼吸が苦しくなって脚が動かなくなるのは本当に苦しいです。私もこのところ、そんなレースばかりです。もうやめたくなります。それでもリタイアしないのはなぜでしょうね。

でも堂々のサブフォー。凄いと思います。

自分を褒めてあげてください。

こういうレースを乗り越えて、また、強くなるんだと思います。

お疲れさまでした。心から。そして、少し休んでリフレッシュしてください。

ナイスランでした!
by ヨッシー 2019/11/04(Mon)22:57:34 編集

Re:ナイスレース!

ヨッシーさん、ありがとうございました。

本当に今回は、「苦しい」の一言で集約できるレースでした。

でも、出たからにはリタイヤできないんですよね~

同じランナーのヨッシーさんにとっては、「あるある」なんですが、走らない方にはきっと理解できない境地なんでしょうね。

ヨッシーさんのおっしゃる通り、「ランナーとしての意地と誇り」が、ゴールまで私を連れて行ってくれました。

やっぱり、マラソンはゴールすれば勝ちですから、タイムよりも完走に力点が入ってしまいますよね。

お互いに、次も完走目指して頑張りましょう!
2019/11/05 20:42

お疲れ様です

ランニングの、特に呼吸の疲労感は
虫歯の神経が直接痛むのに似て
気持ちでは乗り越えられないものがあると思います。

これだけフラフラのRX-93さんが
私が絶好調で走るフルマラソンより
好タイムで走れてるのは本当にすごいことです。

マラソンにまぐれはない、っていい言葉ですね。
そして好不調に関係なく
これだけ自分の体と真剣に向き合う機会は
なかなかないと思います。

一息ついてからだの気になるところは
しっかり処置をしてから
また次の目標に向けて頑張って下さい(><)/
by りょうま URL 2019/11/04(Mon)23:33:50 編集

Re:お疲れ様です

りょうまさん、ありがとうございました。

本当に、「マラソンにまぐれはない」ですよね~。

ちなみに私的に今回は、

公私ともに忙しい→ストレスがたまる→ストレス解消で飲みすぎる→飲みすぎて走れない

この連鎖でボロボロでしたw

で、

練習でボロボロだと、レースもやっぱりボロボロですね。

でも、

ボロボロでも、出たからには、レースでは真剣に行きたい!

この一心のレースでした。

りょうまさんもケガを抱えてしまいましたが、もしレースに出れるようでしたら、週末は結果よりもレース中の気持ちに負けないように頑張ってください!

応援しています!
2019/11/05 20:52
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プロフィール

HN:
RX-93
性別:
男性
自己紹介:
花の昭和47年生まれのアル中&メタボ中年が、何を血迷ったのか38歳からランニングを開始!
40歳でサブスリーを達成すると、42歳でフルマラソン2時間48分台を記録。
ランナーズのフルマラソン全日本ランキングのベスト100に掲載されると、有頂天もMAXに。
だが、
それが災いしたのか、その後は故障の連続。
ストレス解消のために走ったはずが、走れば走るほどにストレスに!?
サブスリー時代のブログを閉じて、新天地にやってきました。
毎日が、「日々是好日」。
ランRUN日和になりますように!

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